外国人材採用 HOW TO
外国人材採用の基礎知識
外国人材を雇用するための基本となる知識と、宮城県内における雇用状況の最新情報をチェック!
在留資格制度とは
外国人が日本に入国・在留するためには、原則として入管法に定める29種類の在留資格のいずれかを有することが必要です。外国人が行うことができる活動等をあらかじめ類型化し、いかなる活動等であれば入国・在留が可能なのかを明らかにする仕組みを「在留資格制度」といいます。 在留資格は大きく活動資格と居住資格の2つに区分されます。日本では活動資格について専門的な技術、技能又は知識を活かして職業活動に従事する外国人の入国・在留を認めており、また、居住資格においても就労活動に従事することが可能です。
宮城県内の雇用状況と
主な外国人材活用の
在留資格
令和3年10月末現在、宮城県内の外国人労働者数は13,415 人で、2,628カ所の事業所で雇用しています。国籍別(図❶)に見ると、ベトナムが最も多く4,496人、次いで中国2,435人、ネパール1,736人、フィリピン914人の順となり、産業別(図❷)では「卸売業、小売業」が20%を占め、次いで「製造業」が16%、「宿泊業、飲食サービス業」が16%、「建設業」が14%となっています。在留資格別(図❸)では、留学生のアルバイト活動といった「資格外活動」が全体の32.1%を占め、次いで技能実習生の「技能実習」が29.2%、「専門的・技術的分野の在留資格※1」が18.7%、「身分に基づく在留資格※2」が17.8%です。 「専門的・技術的分野の在留資格」と「身分に基づく在留資格」の外国人労働者は前年同期と比べて増加しており、なかでも「専門的・技術的分野の在留資格」のうち、平成31年4月に創設された「特定技能」は大幅増加となっています。 就労を目的にした在留が認められている宮城県内の外国人労働者の中で代表的な在留資格としては、「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」などが挙げられます。
「特定技能」
「特定技能1号」「特定技能2号」の2つに分けられ、それぞれ在留期間や日本語能力水準、家族の帯同の可否などが異なります。「特定技能」は「介護」「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「建設」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」の12分野に区分されます。
「技能実習」
開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、国際貢献のために技能を習得することを目的に在留が認められています。
「技術・人文知識・国際業務」
理学、工学、その他の自然科学の分野(技術)、法律学、経済学、社会学、その他の人文科学の分野に属する技術または知識を要する業務(人文知識)、外国の文化に基盤を有する思考、感受性を必要とする業務に従事する活動(国際業務)といった、技術や知識などの専門性が必要な業務に従事する場合の在留資格です。
※1…「専門的・技術的分野の在留資格」には、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職1 号・2
号」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「介護」「技能」「特定技能」が該当
※2…「身分に基づく在留資格」には、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」が該当
外国人材採用フロー
「Work in MIYAGI」は、宮城県を代表する外国人材マッチング支援事業として企業と外国人材の両方の声に寄り添ったサポートで、グローバルな未来をつくります。企業がハードルに感じている法制上の手続きなどもご相談を。
こんなお悩み
ありませんか?
外国人材を採用したくても、何から始めたらいいのか、手続きはどうすればいいのか、入社後の教育体制は…など、不安や疑問に思うことは多いはず。「Work in MIYAGI」は、一つひとつの疑問に対応しながら、それぞれのニーズに合った優秀な外国人材との出会いをサポートします。
- 受入体制づくりのノウハウがない
- 在留資格とは?手続きは?
- 社員・現場のメンバーが抵抗感を示す
- 外国人材と出会うきっかけがない
- 採用活動はどうすれば良い?
- 自社で雇用できるのか
- 海外展開も検討しているが一歩目が…
専任コーディネータが企業一社一社に合わせ完全ワンストップ支援
- 外国人との交流
- 受入体制の構築
- 採用基準の設定
- 入社手続関連
- 入社後教育
- 求人票の作成
- 選考試験フロー
- 内定辞退予防対策
- 居住環境整備
- フォローアップ
外国人材採用成功のために 知っておきたい 5つのPoint
外国人材の採用活動をしたいが最初の一歩が踏み出せないという企業のみなさんに知ってほしい、基本となるポイントをご紹介。
手続きなどの実務も必要ですが、まずはこの心構えを押さえておきましょう。
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採用を考える際に大切なこと
外国人材は在留資格やステータスなどが多岐に渡るため、最初に「何のために採用するのか」といった目的を整理することが大切です。また、今回の誌面でも紹介しているモデル企業をはじめ外国人材の採用に成功している企業では、「なぜ採用するのか」について、トップダウンではなく、経営陣と現場で意識の共有ができているケースがほとんどです。
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採用活動のスタートは?
採用活動をすることが決まったら、まずは求人票を作成します。ただし、事務職と現場作業などでは制度的に必要な資格が異なるため、「採用したい国籍」「任せたい業務」「業務を行うためのポジション」などを明確にしなければなりません。その後、必要な在留資格を確認し、その人材が国内にいるのか、外国にいるのか、どういう採用スキームを使うかといった条件に沿って具体的に求人票を作
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スムーズな受け入れのための心構え
業務や生活支援に関する担当者、OJT担当を選任するなど、会社全体として受け入れ体制を整えることが大切です。また、お互いの文化を尊重して理解しようとする姿勢も肝要になります。宗教の違いや制約がある場合には、事前確認が必要になることもあります。既に受け入れに成功しているモデル企業に話を聞く、外国人材活用のレクチャーを受講するなどもおすすめです。
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適切なマッチングを行うために
スキルや日本語力など、企業として重要視する項目を明確にするだけでなく、面談の際には、採用したい理由を伝えると同時に相手の目標や夢なども聞きながらお互いの条件をすり合わせることが大切です。オンラインでの面談の場合は本来の日本語力を発揮できないケースもあるため、直接会って話す機会を設けるのがベターです。所作や人柄など、直接会うことで分かる要素もありますし、採用される側も安心感を得られます。
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採用後のフォロー・教育について
日本語能力検定のN1を持っていても、ビジネス日本語や敬語の種類などは0から教えていくことになります。日本式のビジネスマナーについても自社で教育する必要があります。即戦力だと思わず、新入社員研修や初期の社内研修は日本人よりも丁寧に行いましょう。外国人材が活躍しているモデル企業では、外国籍の先輩社員や経営者自らが入社後のメンターを担うケースが多く見られます。1人、2人と成功を重ねれば、自社のノウハウができてきます。
Work in MIYAGIが
バックアップします
『Work in MIYAGI』では外国人材採用に関するさまざまな不安や心配を解消するため、「在留資格について」「受け入れ体制のつくり方」などのセミナーや合同企業説明会などを開催しています。求人票の作成も含め、マッチングから入社まで、専任コーディネーターがそれぞれの企業に合わせてワンストップで支援を行っています。自社で外国人材が活用できるのか、など検討の段階でもお気軽にお問い合わせ下さい。
外国人材 採用のリアル
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Q
文化や宗教の違いはどうなのか?
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A
宮城県で就労する外国人材の多くが東南アジアの皆様です。もちろん国による宗教の違いもあります。例えば技能実習生の多くを占めるインドネシアについては、80%以上がイスラム教を信仰しています。有名な五行としては、1日5回の礼拝やラマダンの断食があります。ただし、信仰心には個人差があるため、面接時にはしっかりと確認した方が良いでしょう。就労支援した方の中にはアルコールを摂取できない方や、食べられない物がある方もおりましたが、企業の工夫や配慮によって、日本人同士と変わらない「食事を通したコミュニケーション」や「社員との交流」が実現していました。文化の違いについても同様に、それぞれにとっての「生まれ育った中での当たり前」が異なるだけと言えます。その「それぞれの当たり前」を【理解し合う、尊重し合う】ことで共生は必ず叶います。大切なのはやはりお互いがしっかりと向き合うことです。心が通じれば想いも通じると感じています。
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Q
家族を持つ方を採用する場合、 家族も帯同させるのか?
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A
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(エンジニア/事務/営業/企画/マーケティング/通訳翻訳他)を活用した採用を行う際、当該在留資格については「家族帯同が可能」とされています。しかし、家族が母国にいても単身での日本就労を希望する方もいれば、数年働いた後に家族を連れてきたいなど、国の文化や価値観により希望が異なりますので、面接の際に確認が必要となります。家族の皆様の在留資格は「家族滞在」となり、【就労は不可】とされています。しかし、出入国管理局へ申請を行う事で「資格外活動許可」という許可を得ることができます。この許可は【週に28時間以内であれば就労が可能】とされ、よく街のコンビニや居酒屋で見かける外国人のスタッフの皆様は、基本的に在留資格「留学」や「家族滞在」をお持ちの【資格外活動許可】を持つアルバイトの方々です。
※「技術・人文知識・国際業務」ではコンビニや飲食店のホール担当等での就労はできません。
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Q
海外から採用する場合、 入社時期はどうなるのか??
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A
3月卒業、4月入社の【新卒採用文化】は日本独自のもので、県内就労外国人の75%以上を占めるアジア圏の国では大学卒業後に就職活動を開始します。また【終身雇用制度/年功序列】も日本の特徴的な文化で、海外の皆様は基本的に「転職(キャリアアップ)していくことで自身の市場価値を高めていく感覚を持っている」ことを、まずは前提として会社全体で認知しておく必要があります。その上で、傾向としては日本での就職を目指している方々は日本の就職活動(入社時期や採用スケジュール)についてよく調べている方が多いですが、上記背景に加えて海外の大学の卒業は6月、9月など国によっても異なりますので、【どのようなスケジュールで採用活動・入社を進めていくか】は、事前に検討する必要があります。海外から採用する場合は在留資格認定手続きに1〜3カ月程要しますので、手続期間も含めてある程度柔軟に入社時期を設定するか、新卒入社の4月に合わせるような採用スケジュールを設定するか検討が必要です。ちなみに台湾など、大学卒業後に兵役が設けられている国もあります。「即戦力人材を1日でも早く採用したい」のか「良い人材がいれば中長期的に採用へつなげていきたい」のか、企業の採用ニーズによって採用方法や募集戦略が異なります。ぜひご相談くださいませ。
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Q
住まいの手配や入国時の対応は すべて企業で実施しなければならないのか?
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A
家賃の支払いについては、企業に負担義務はありませんが、「家賃補助」のある求人に魅力を感じる応募者が多いことも事実です。アジア圏の外国人材の皆様は傾向として、日本の生活様式や住居設備のレベルが高いと感じている方も多く、広さや設備についても日本人程こだわりが強くないように感じます。しかし、東北全体の傾向ですがまだまだ外国籍の方の賃貸契約が困難なエリアも多く、企業が契約した物件に入居し、本人給与から家賃を差し引く形で進めているケースが最も多い現状です。一方で外国籍の方の入居を歓迎する物件も少しずつ増えており、Work in MIYAGIでは住居確保についてもサポートしておりますのでお気軽にご相談ください。出入国時の対応については、空港への送迎や手続き対応含め企業に義務付けられているものはありませんが、仙台空港との直行便のない国については、成田・羽田空港発着がメインとなるため、初めて来日する方に対しては特に、必要に応じたサポートが必要になることもあります。
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Q
面接時には、何を 確認・重視するとよいですか?
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A
技能実習生の場合は、時給が100円でも高いところで、仕事はなんでも構わないという方もいます。 とにかく「稼ぎたい気持ち」を強く持ってくださっている方が多いと言えます。 一方、技人国(※1)の採用の際には、日本人と同様もしくは日本の新卒世代よりも高い意識を持って「自分がどう成長できるか」「何を任せてもらえるか」「どんな貢献ができるか」をしっかりと考えている方が多くいらっしゃいます。 この違いは、日々の面談や面接を行う中で実感していることのひとつです。
ここから言えることは、外国人材が企業にとって「安い賃金で活用できる」という気持ちで採用活動に取り組んではいけないということです。 大前提として、まず企業として採用する人材のキャリアビジョンやポジション、活用のイメージを明確にすることが重要です。
求職者にとって賃金や条件面が就職の一番の条件である場合、どうしても首都圏や関東への人材流出は防ぎきれない面もあります。 しかし、キャリアビジョンやポジション、就労イメージを明確に伝えることができ、それが本人の求めるものと合致すれば入社の決め手になることは十分にありえます。 つまり、企業側から具体的なビジョンの提示ができれば、東北・地方であっても国内外から優秀な人材を確保できるということになります。
これまで見てきた中で、採用に成功している企業様では、求職者本人がどのようなビジョンや日本での就労に対するイメージを持っているのかを確認しながら、本人が持っているキャリアイメージに企業がしっかりと答え、お互いに擦り合わせを行っています。 企業側と外国人材との間でしっかりと同じ感覚を共有できれば、それが良いマッチングという結果につながると思います。
(※1)技人国とは技術・人文知識・国際業務の在留資格のこと。大学卒業または同等の学力があり専門の知識や技術を要することなど複数の条件がある。
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Q
どの程度の日本語レベルがあれば 安心なのでしょうか?
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A
外国籍の先輩社員がすでに在籍しており、言語に支障がなく入社後教育やOJTを実施できる環境であれば、日本語スキルがそこまで求められないケースもあります。 しかし現状では、初めて外国人社員を採用するという段階の企業様の方が多いため、実務で一緒に働く日本人のメンバーも外国人社員の日本語レベルに不安を感じている場合があります。そういった際には「できる限り日本語能力の高い方」をご提案しております。
入社後3ヵ月以内の定着率や動きぶりを見ている中で、すぐにトラブルが発生するケースや退職意向がでるケースに共通しているのは「意思疎通がうまくいかない」という要素です。 どの業界も基本的には人手不足であるため、つきっきりで日本語の意味も噛み砕きながら研修や教育ができるようなマンパワーまでは持ち合わせていない場合も多く、外国人社員にとっては「自分の言いたいことが伝わらない」「うまく聞き取りや理解ができない」ことがストレスになってしまいます。 一方で、日本人社員にとっても意思疎通ができないことがストレスになることで悪循環が生まれ、結果として「やっぱりうちで外国人材活用はまだ早い、できない」という本来ならば発生しないはずの状態や結末を迎えてしまいます。 このような事態を避けるためにも、Work in MIYAGI事務局としては、受け入れ体制が整い、雇用実績を重ねた段階に進むまでは「ある程度の日本語力、コミュニケーション力を持った人材を採用する」ことをおすすめしております。 また、外国人社員が従事する業務内容が日本語の資料を扱ったりお客様とのやりとりが多いといった場合は、漢字を含めた日本語の読み書きのスキルも一定のレベルを設けて確認した方が良いと思います。
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Q
文化や考え方の違いがあるといいますが、 実際にはどのようなことなのですか?
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A
文化の違いについては、すべてを想定して事前に対処することは不可能に近いと思っております。 文化や考え方の違いは、お互いに想定の範囲を超えるものだと日々実感しており、このギャップを「課題」にしてしまわないためにも、最も重要なことはとにかく「コミュニケーションを取ること」だと思います。
以前アメリカ人のメンバーが「日本の“空気を読む”という英語の表現は難しい。とても独特な文化だ」と言っておりました。 また、複数の国のメンバーが「日本人は物事を曖昧に、相手が嫌な気分になるかもしれないと思った時は特に遠回しに伝える。察してと言われても、私たちの国では物事をハッキリと伝えるので難しい」とも言っておりました。要するに、実は日本も相当独特な文化を持っている国であるということです。
日本企業には様々な慣習や古くからの企業文化があります。 そこで働く外国人社員のみなさんは、少なからずストレスや、気遣いの難しさを感じながらがんばって日々の業務に従事しているのではないでしょうか。 したがって、「日本で仕事をするからには日本の文化・企業文化に適応してもらわなければ困る」という考え方は理にかなってはいるものの、もう少し柔軟に「互いの異なる文化を理解しながら尊重し合おう」という企業側のスタンスが最も重要であると思います。
宗教的なことがらに関しては、どちらの文化を取るか、尊重するか、という論点では行き詰まってしまいます。 異文化を障壁や課題にしてしまわないためには、まずは向き合うこと、理解すること、認め合うことが、大切な考え方になると思います。
外国人材の皆様の「日本の時間を守ることへの姿勢がすごい」「定時いっぱいまで仕事をすること、加えて残業や休日を返上して仕事をすることもあるのに驚いた」という声にも現れているとおり、日本の規律性は海外に比べても非常にレベルが高いと思います。 真面目さやきめ細やかな規律性は日本の良さですが、外国人材の皆様が母国の慣習や感覚のまま就労を開始した結果、本人は真面目に取り組んでいるつもりが「ルーズな勤務意欲」や「やる気のない姿勢」に見えてしまうといった事例もありました。これも文化の違いのひとつと言えるでしょう。
また、面接時に「長く勤めてもらいたい」という企業の希望に対して、「キャリアチェンジやキャリアアップをして自身の市場価値を高めたい」という意思表示が返ってくる場合があります。 決して悪い意味ではなく、日本のような年功序列や終身雇用の文化が海外にはないことから、そのような感覚を持っている方が多いのは事実です。 将来は起業したいという気持ちを持つ方も多くいらっしゃいます。この点は、外国人材の背景を含めて事前に企業側が理解しておく必要があると思います。 県内には「何年くらい日本で働きたいか」を事前に聞いた上で、次の採用を計画的に実施している優良事例を持つ企業もあります。 ご興味のある方はWork in MIYAGI事務局までご相談ください。